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僕のブログは役に立っている?

長い間、「エコハウスのウソ」と「省エネ住宅とは?」を連載して来ました・・・

ガッ、誰かの役に立ったのかな?(-ω-;)

反応がゼ~ンゼン無いよ。
マッ、こんなものかも知れないね。(^-^;)

そう言えば、今の社会現象らしいけど、若い(40代前?)人達の他人に対する無関心ぶりが際立っているように感じるね。 (´・ω・`)
道路は自分だけの為にあって、他人は通行していないハズ・・・。
ボーリングで隣の人が投球に入ろうとしても、かまわずサッと追抜いて投げる・・・。
ゴルフ場のコースで、プレーの途中に練習している・・・。
自分の子供が他人に叱ってもらったのに逆ギレする・・・。
要求は最大級に、義務は最小限・・・イエ零で・・・。(」゚ロ゚)」

こんなんで、今後の日本は一体どうなってしまうのかナ―?σ(・´ω・`*)
ト、心配してみると、反面では東北その他にボランティア活動に自費で行く人も多いんだよね。
アレ見てると、マダマダ日本も捨てたもんじゃないぞ!ト、思いたくはなるんだけど・・・少数派なんだよナー。( ̄へ ̄|||)

デモネ、僕も正義の少数派が居る限りはガンバッテ・・・ミヨウ・・・と思っているよ。体力は無くなったけど、頭脳は少しボケが入った程度で、しっかりしている?から。
o((*・ω・*))o
ソレカラ、記事の内容がムズカシカッタら、そう言ってよ。・・・
なんてことを言ってもムダか・・・。( ̄▽ ̄;)アハハ…



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# by ja_club | 2012-05-08 14:42 | Trackback 

省エネ住宅とは? 最終回


省エネの注目技術「ヒートポンプ」とは?
― 最近、空調機器や給湯器などの資料を見ると、「ヒートポンプ」という言葉をよく見かけます。これはどういうものでしょうか。

ヒートポンプは、温度の低いところから温度の高いところへ熱を運ぶ機械のことです。
ヒートポンプの仕組は簡単な実験で説明できます。

まず、ピストン付の丈夫なシリンダーを用意します。シリンダーの底に燃えやすい木くず、あるいはマッチの先端を入れておいて、ピストンにぐっと力を入れて圧縮すると、発火します。圧縮された空気は著しく高温になるのです。
 逆に、ピストンを引くと、内部にはわずかに霧が発生します。温度が下がって空気中の水蒸気が凝縮して小さな水滴になるのです。気体が圧縮されると温度が上がり、膨張すると温度が下がります。
 圧縮・膨張しやすい「冷媒」と呼ばれる物質をこの原理で循環させ、温度の低いときに冷媒に吸収した熱のエネルギーを、温度の高くなったときに外部に吐き出す―それがヒートポンプです。

―エアコンもヒートポンプを使っていますね。

 エアコン(図2)では、このピストンにモーターが付いていて、電力で動かします。室外機や室内機は空気を吹き出すのにファンを使いますから、ここでも電力を消費します。投入した電力の合計で、取り出せる熱エネルギーを割り算した値をCOP(Coefficient of Performance)と呼びます。



エネルギーにも「質」の違い
― ヒートポンプを用いたエアコンや給湯器は、COPが高いといわれています。

 電熱器で空気や水を温めるのに比べれば、効率が高いのは事実です。しかし、過大評価をしていることが少なくありません。例えば、ヒートポンプを使った機器の広告で「1の電力で2~3の熱エネルギーが得られる」といったうたい文句をよく見ますが、その計算は必ずしも実態を反映していません。
 そもそも電力と熱は、エネルギーの「質」が全く違います。電力はモーターやファンを動かすことができるエネルギーです。しかし、熱エネルギーは電力の3倍あっても、モーターは動かせない。
 その「質」をエネルギーに組み込んだ概念がエクセルギーです。

― 初めて聞く言葉です。

 1955年にスロベニアのゾラン・ラントという学者がつくった言葉です。概念そのものは1900年頃からありました。エクセルギーは「外に取り出せる仕事」とか「有効エネルギー」などとも呼ばれたことがあります。
 例えば、20リットルのタンクと5リットルタンクがあって、両方に水温20度の水が満たされているとしましょう。(図3)。このとき、20リットルの水を40度にするのと同じ熱エネルギーを5リットルの水に加えると、100度に達します。手をひたせば20リットルのほうはお風呂ぐらいの温かさですが、5リットルのほうはやけどしてしまう。
 つまり、エネルギーは同じでも、得られる熱さには大きな差がある。まさに「質」が違うのです。この違いを表せるのがエクセルギーと考えてもらえばいいでしょう。

 

―エクセルギーをCOPに当てはめるとどうなりますか。

 さきほどのヒートポンプの例でいうと、1という投入電力に対し、熱エネルギーは2~3でしたが、エクセルギーだと0.15~0.2ぐらい。つまり、ヒートポンプ冷房では、電力の85を消費して15という冷たさをつくっている。エアコンは、電力として投入したエクセルギーの中から冷たさのエクセルギー(冷エクセルギー)と温かさのエクセルギー(温エクセルギー)を取り出して、振り分けているだけなんです。

―効率が低いんですね・・・。

 がっかりしすぎですよ(笑)。冷房・暖房に限らず、私たちの身体も植物の光合成も、投入したエクセルギーから取り出せるエクセルギーの割合は大体同じようなものなんです。だから、そういうものと理解したうえで、ヒートポンプは「ヒートポンプだからこそ行えること」に上手に使っていかなくてはなりません。


まずはパッシブで考える
― ヒートポンプのような環境技術を「アクティブ」技術とし、伝統的な「パッシブ」技術と分けて紹介していることがよくあります。使う人によって言葉の定義が違うようにも思えますが・・・。

 パッシブとアクティブの違いは明らかです。ひとことでいうと、パッシブとは建物に穴を開けることに尽きます。穴を開けて建物に光を入れ、風を抜く。穴の開け閉め以外は成り行きにまかせるのがパッシブ技術です。人類史とともに発展してきた技術です。
 これに対して、アクティブは動力を使う技術。ポンプもファンも、電灯照明も、動力利用の原理はさほど変わりません。これらはすべてアクティブ技術です。

― 省エネ住宅は今後、どちらの方向に向かうべきなのでしょう。
 
 パッシブとアクティブを、二項対立で考える必要はありません。技術者の思考は、とかくアクティブに向いがちでしたが、これからはまず、パッシブ技術で何ができるかを考え、その効果を高めるためにアクティブ技術を使うような発想が大切になっていきます。
 例えば、先ほどのヒートポンプ。ヒートポンプの特長はエクセルギーを運べることです。地表から2~3mの地中の温度は年平均外気温ぐらいで安定しています。これは冬には温エクセルギーが地中に埋蔵されていることを意味します。
 これらを室内に運ぶのにヒートポンプを使えばよいわけです。

冬の床暖房は表面温度が25度ぐらいあればいいですし、給湯温度せいぜい40度。そのためにガスを燃やしたり、電力を熱に変えたりするのはもったいない。

― 電力やガスの使用を減らしても、快適な環境はつくれますか。

 多くの人は、「電力やガスをたくさん使うことが快適性をもたらす」と思い込んでいます。しかし、私たちがこれまで研究してきたことを総合すると、それは誤解です。人の身体についてエクセルギーの収支を計算してみると、エクセルギーの消費が小さくなるのは、冬では床や壁の表面温度が「高め」で、空気温は「やや低め」の場合です。夏はその逆です。
 エネルギーをたくさん使うのでなく、できるだけ小さく使うことで快適な環境をつくること。それは、建築に携わる人たちにとって、これからの極めて重要な仕事ですし、面白い技術的な課題がたくさんあるのではないでしょうか。


宿谷昌則:東京都市大学教授
(日経アーキテクチュアNo.972 P112.より引用)   』



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# by ja_club | 2012-04-10 17:12 | 住宅 | Trackback 

省エネ住宅とは? (第4回)


気密性を高めるのは何のため?
― 断熱とセットで語られるのが「気密」です。気密に関しては、専門家でもいろいろな考え方があるようですが・・・。

環境や設備の技術者は、断熱とともに気密を徹底しなければならないと考える人が多いと思います。その一方で、建築家のなかには、日本は温暖な国なのだから、家は開かれるべきだ、と主張する人も少なくないようです。
しかし、“開く派”と“閉じる派”が対立して議論することには、あまり意味がないと思います。なぜなら気密は、断熱のためだけに行なうものではなく、適切な換気を行うためにも重要だからです。

―えっ、換気ですか?

 そう。人は呼吸しますし、家の中で料理もすればお湯も沸かす。そのために汚れた空気を捨て、吸うのに健全な空気を入れる換気が不可欠です。しかし、家の中が隙間だらけだったら、いろいろなところから空気が勝手に出入してしまい、適切な換気が行なえなくなります。

 だから、一定程度の気密性は必要なのです。


気密性の指標「C値」の意味
― 気密性を測る指標が「C値」ですね。

 C値は、日本語でいうと相当隙間面積です。家中目張りして、空気が全く漏れない状態ができるとすれば、それが隙間面積0。相当隙間面積は、床面積1m2あたりに隙間がどのぐらいあるかを、「cm2」で示すものです。実際には、窓や扉を全部閉めて室内の圧力を下げたとき、外からどのぐらい空気が流入するかを測定して判断します。

― 木造住宅でのC値の目安は?

 2.0cm2/m2以下にしたいところです。床面積100m2として、2.0cm2/m2はハガキ大の隙間があることを意味します。

 
―次世代省エネルギー基準では、2009年の改正でC値の基準値がなくなりましたが・・・


 なぜなくなったのかは知りませんが、基準値がなくなったから気密性はどうでもよい、ということはありません。私たちの呼吸を考えてみれば分かります。頬や首に穴が空いていたら呼吸がしにくい(図1の右側)。その逆に気密が大切だからと、鼻の穴に脱脂綿を突っ込んだら息苦しくて仕方がない。気密性を確保し、通すべきところに空気を通すことが大切なのです。

換気は風と温度差を利用
― 気密性を高めると、余計な隙間風を防ぎつつ空気の入れ替えがしやすくなるということですね。

 そう、それを計画換気と呼びます。

― 換気扇を使うわけですか。
 
 それだけとは限りません。計画換気とは機械的に換気することだと思い込む人が多いのですが、風の通り道をうまくつくってあげて、必要に応じて人の手で窓や建具を開け閉めすることも計画換気とよんでよいと思います。

― 風通しを考えるためには、その場所の気象条件も知っておかなければなりませんね。

 覚えておきたい言葉として、卓越風があります。これは、その地域で月ごと、または季節ごとに一番吹きやすい風向きを指します。気象庁のデータで大まかな方向をつかむことはできます。
 しかし、たとえば「横浜」といっていも、海側と山側ではずいぶん風の様子が異なることは分かりますね。その地域の風の概況を知ることに加えて、その敷地の周囲で風がどう吹いているかを知ることが重要です。たとえ卓越風が吹いていても、周辺の建物などとの関係で、対象となる敷地には届かないこともあるでしょう。

それを知るには現地調査を重ねるしかありません。
 このように、建物の周囲に吹く自然の風を利用して換気することを風力換気と呼びます。


―自然の風はいつも吹いているとは限りませんが・・・

 風がなくても、温度差があれば空気は動きます。温められた空気は膨張するので、密度が小さくなって上昇します。この温度差を利用して行う換気が重力換気です。煙突効果と呼ぶこともあります。
 高いところに排気口を設ければ、人の身体や照明の発熱、調理の燃焼などで暖められた空気が抜けていきます。そこで、低い位置に給気口を開けておけば、そこから新しい空気が入ってくるわけです。

―家の中を風が流れるような表現の図面をよく見ますね。

 確かに建築家は、よく図面に風の流れを書き込んで見せますが、扉や窓の開け閉めを考えに入れて流線を描いている人はあまりいません。小さな住宅でも、開口部は意外とたくさんあるものです。
 その開口部のどれを開けてどれを閉めるかで空気の流れは違ってきます。住まい手にその開け閉めを無理強いするのでなく、うまく促せるように開口部をしつらえることもデザインだと思います。

例えば、高窓の開閉がしやすいように、安全でしゃれたスツールを用意しておく、あるいは扉を半開にしておけるストッパーを設けておくといった配慮が意外に重要です。

宿谷昌則:東京都市大学教授
(日経アーキテクチュアNo.970 P84.より引用)   』




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# by ja_club | 2012-03-28 09:40 | 住宅 | Trackback 

省エネ住宅とは? (第3回)


混合しがちな断熱と遮熱の役割

― 断熱のほかに「遮熱」という言葉をよく聞きます。断熱と遮熱とはどう違うのですか。

断熱はこれまで説明してきたように、壁の内部を伝わっていく熱の量を小さくすることです。それに対して遮熱は、日射を吸収しないように反射することや、日射を吸収した結果、温度の高くなった面から出る長波長放射(人が熱を感じる放射のこと、連載第1回参照)が室内に入らないようにすることを意味します。

 垂直の不透明の壁であれば、断熱性は遮熱性を兼ねます。なぜなら、光を透過しない素材では、光は必ず熱になって伝わるので、断熱性があれば伝わってこないのです。

つまり、床・壁・天井では、冬、熱を逃がさないための遮熱にも効果を発揮します。

― では、屋根などに断熱材のかわりに遮熱塗料を塗るのは・・・

塗料の効果はあくまでも「従」です。何かの事情で断熱材をあまり厚くはできない場合に断熱材と遮熱塗料を組み合わせれば、それなりの効果はあるでしょう。注意してほしいのは、遮熱塗料には冬のための断熱性はないことです。

― ガラス窓の場合はどうですか。

 光を通す開口部(図2の下)は、床・壁・天井とは対策が全く異なります。日射のない夜間については一般の壁と同様に考えて、ガラスを複層にするなどの方法を用いますが、夏の昼間の日射のことを考えると、庇や窓の外側での日除けを用いた「遮熱」がとても重要になります。
 このとき、日除けを「窓の外」に設けないと、十分な遮熱効果を発揮しません。


よしずとカーテンの違い
― そういえば、夏、窓の外によしずをかけたりすることが効果的だとよく聞きます。窓の内側にブラインドやカーテンをつけるのとではどう違うのですか?

 ガラスは長波長放射を通しません。したがって、ガラスよりも室内側にある物体に日射が吸収され温められた結果、放出される長波長放射は、ほとんどすべて室内にとどまります。
 冬であれば、ガラスの内側にカーテンを引いても日差しで温められたカーテンから室内に放射が出て、暖かく過ごせますが、同じことが夏に起きたらどうなるでしょうか。

― 想像するだけで汗が出てきそうです。

 夏、室内側にかけたブラインドは、表面温度が低くても35度くらい、高い場合には38度ぐらいまで上がります。床暖房のちょうどよい表面温度がせいぜい26~28度ですから、それより10度近くも高い。その放射が室内に放出されたらたまりません。
 これに対して、室外側に日除けをつければ、ガラスは長波長放射を透過させませんから、室内が暑くなりにくくなるのです。

 これが「遮熱」ということです。


庇で熱取得率はぐんと下がる
― 開口部に「日射熱取得率」という指標がありますが、これはどういうものですか。

 日射熱取得率(または日射侵入率、η値)とは、ガラスに当った日射を1としたとき、室内にどのぐらい侵入するかを示す数値です。数値が小さいほど日射に起因する熱取得が小さくなり、夏季の冷房負荷は小さくなります。
 日射熱取得は3つの要素から成ります。ひとつは光、すなわち「透過日射」。残る2つは熱で、ガラスや壁・天井が日射を吸収した結果放出される「長波長放射」、これらの面に触れている空気に伝わってくる熱「対流」です。日射熱取得率にはこの3つの成分が考慮されています。

― 日除けを内側につけるのと外側につけるのとでは、日射熱取得率はどのくらい違うのでしょうか。
 
 日除けのない普通の単板ガラスで0.85ぐらい、複層ガラスだと0.75ぐらいで、日射熱取得に関しては単板でも複層でもさほど大きな差はありません。ブラインドを室内側に付けた場合、羽根板の色にもよりますが、せいぜい0.6というところです。それが、窓の外に日除けを付けると0.1~0.3と、ぐんと小さくすることができます。


― 日除けが外側にあると、部屋の中が暗くなりませんか。

 材質が同じなら、それが内側にあろうと外側にあろうと、通過日射(光)は同じです。明るさに影響はありません。

宿谷昌則:東京都市大学教授
(日経アーキテクチュアNo.969 P76.より引用)   』




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# by ja_club | 2012-03-14 09:56 | 住宅 | Trackback 

省エネ住宅とは? (第2回)


断熱指標の理解は数式だけでなく体で

― 壁や窓の断熱性で「熱貫流率」という数値をよく見ますが、どう読み取ればいいのですか。

熱貫流率とは、たとえば室内の温度が20度で屋外の温度が19度のとき、すなわち内外の温度差が1度(1K)のときに、壁を貫いてどれだけ熱が出ていくかを示す値で、単位はW/(m2・K)です。単位の分母にある「m2」は、壁の表面積1m2当たり、ということです。 
これは熱の「伝わりやすさ」を示しているので、数値が小さければ小さいほど、断熱性が高いことを意味します。


― K値と呼ばれたり、U値と呼ばれたりしています。

それはドイツ系学派かアメリカ系学派かの違いで、意味は同じです。ドイツ語ではConduction(伝導)の「C」を「K」とつづるのでK値。あるいは、単に「貫流」の「K」だという話もどこかで聞いたことがあります(笑)。U値はU-value。あまり呼び方にこだわる必要はないでしょう。(編集部注:2009年に施行された改正省エネルギー法では、熱貫流率を示す略号が「K」から「U」に変更された)

― 熱貫流率は「熱伝導率」とどう違うのですか。

 熱貫流率が部位の厚さや材料の重なりを考慮した数値であるのに対して、熱伝導率は各材料の表面性1m2当たり、「厚さ1m当たり」の熱の伝わりやすさを意味します。熱貫流率は、その部位を構成する各材料の厚さをそれぞれの熱伝導率で割って熱抵抗を算出し、それらを足し合わせて計算します。(図1の右側)

断熱材で熱貫流率は激変
― ガラス窓やコンクリートの壁の熱貫流率はどのくらいですか。

 おおざっぱに言って、単板ガラスの熱貫流率が6W/(m2・K)、無断熱のコンクリート壁が厚さ15cmで3.5~4ぐらい。これが昔の、断熱していない建物の実態ですね。
 冬に室内気温を20度に設定したとしても壁の表面温度はせいぜい10度から12度ぐらいにしかなりません。窓ガラスは10度を切って、すぐに結露してしまうでしょう。

― では、断熱すると?

 厚さ15cmのコンクリートに断熱材を5cm加えれば、熱貫流率は1を切るようになるでしょう。寒冷地でなくても、最低このぐらいは確保したいところです。さらに断熱材を5cm足して10cmにすれば、0.4ぐらいまで小さくできます。

 一方、ガラスは普通の複層ガラスで3、Low-E(低放射)タイプなら2.5か2ぐらいのものが出ています。それほどの寒冷地でなければ、断熱材10cmでLow-E複層ガラスを使えば、設定温度20度の暖房でも、壁の表面温度を最低でも15~16度には保てるでしょう。

― 熱貫流率を小さくすることにデメリットはないのですか。

宿谷 熱貫流率を小さくしようとすれば、壁は厚くなります。それをデメリットと捉える人もいるかもしれません。しかし、前回申し上げたように、断熱性が高いと冷暖房のために空気を仕切らずにすみ、広く使えます。内法の面積が少々小さくなったとしても、それを補って余りあると思いますね。


Q値は「頭と体」で覚えよ
― 熱貫流率が壁など部位ごとの断熱性を示すものだとしたら、建物全体の断熱性を示すのが「熱損失係数」と考えてよいですか。

 そういうことですね。熱貫流率は各部位の「表面積1m2当たり」の断熱性で、熱損失係数(Q値)は建物の「床面積1m2当たり」の断熱性です。

 熱貫流率と同様に、建物の内外の温度差が1度のときに、建物の内側から外側にどれだけ熱が逃げていくかを床面積で割ったものです。各部位の熱貫流率と面積を掛け合わせ、壁や床の全部について足し合わせ、その結果を床面積で割って計算します。ですから、これも数値が小さいほど性能が高いということになります。

― 次世代省エネルギー基準では、関東地域の基準値が2.7となっています。

宿谷 と、いわれても、それがどういうことか、実感としては分からないでしょうね(笑)。
 今から30年以上前に建てられた住宅では、6とか7を超えるのが当たり前でした。それを少なくとも5.2以下に、となったのが1980年(旧省エネルギー基準)。その12年後に4.2になりました(旧省エネルギー基準)。そして1999年に2.7です(次世代省エネルギー基準)。北海道では1.6以下。北欧ではさらに小さい数値だと思います。
 熱損失係数の計算はそれほど難しくありません。建築実務に携わってる人には、自分が関わった建物の熱損失係数を計算し、その数値と自分自身の体感とを対応させて目安を身につけてほしいですね。熱損失係数と「温もり感」が対応付けられるようになればしめたもの。建て主に分かりやすい説明ができ、竣工後にも喜ばれることでしょう。


宿谷昌則:東京都市大学教授
(日経アーキテクチュアNo.968 P98.より引用)   』


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# by ja_club | 2012-02-21 10:15 | 住宅 | Trackback 

省エネ住宅とは? (第1回)


断熱性を高めると快適さが増すわけは?
― エコ住宅や省エネ設備の資料を見ていると、見慣れない言葉がたくさん出てきます。先生にその意味を教えていただきたくて、うかがいました。まず、断熱性の計算に使うK値やQ値といった言葉の意味を・・・。

まあまあ、そう急がずに。専門用語の前に、そもそも断熱の目的とはなんだと思いますか?

― 冷暖房のエネルギー使用量を抑えるためでは?

私も以前はそう考えていました。しかし、断熱性を高めても、光熱費はそれほど劇的に削減できるわけではありません。断熱施工のコストはなかなか回収できないように思えるわけです。

― えっ?がっかりです。

 でもね、例えば5000万円で100m2の家を建てたとしましょう。断熱性が低いと、冬は暖房が効きにくいから、リビングの一部だけで縮こまって暮らす、なんていう状況がたくさんあります。そうすると、5000万円の住宅の一部しか使っていないことになる。100m2のうち、50m2しか使えないとしたら? それこそ、かけたコストに見合いませんね。
 断熱性が高いと、空間を広く使えるようになります。住む人が不快でなく過ごせます。このことこそが断熱の一番の目的と考えるべきです。光熱費の節約は、結果としてついてくる「おまけ」と考えておくのがよいと思います。


放射は身体の芯から温まる
― 断熱性が高いと、どうして快適なんでしょうか。

 断熱性が高いと、床や壁・天井の表面温度が適度に保たれるからです。

― 表面温度? 室温ではないのですか?

 そこで、理解しておかなければならないのが、放射の概念です。輻射と呼ぶこともあります。
 私たちの身体から発する放射熱は、目に見える光(可視光)や紫外線、そして、いわゆる放射線(エックス線やガンマ線)と同じく、みなすべて電磁波です。ただ波長が違うだけなんです。

 可視光は私たちの視細胞を刺激して、身の回りのものを見せてくれる。それより振動の激しい(短い波長を持つ)紫外線は、日焼けの原因になりますね。さらに、紫外線よりもっと短い波長を持つのがエックス線やガンマ線などの放射線というわけです。放射のうち、私たちが全身で温かさや冷たさとして感じる放射を、可視光に比べて波長が長いので、特に長波長放射と呼びます。

身の回りにあるすべての物体が、その温度に応じた長波長放射を発しています。建物の中では、床も壁も天井も放射を出している。そしてその表面温度が高ければ高いほど、長波長放射の量は大きくなります。一方で、私たち人間の身体も、体表面温に応じて長波長放射を発しています。この身体から発せられる放射の量が快と不快を分ける重要な要因になります。

― 床や壁や天井からの放射が、私たちの身体の放射の量に影響するということですか?

 そう。人間の身体の表面温度は30~35度くらいで、それに応じた放射を出しています。夏に壁の表面温度が36度ぐらいに上がると、壁からの放射の方が大きくなり、それが身体に伝わってくるので、暑く感じられます。
 逆に、壁の表面温度が15度ぐらいに下がると、身体から出ていく放射が増えてきて、寒さを感じるようになってきます。


― 身体を包む空気の温度より、床や壁からの放射のほうが重要なのですか。

 例えば、焼き鳥を想像してみてください。一方では、炎が燃えさかる中で肉を焼いている。もう一方では、七輪で、赤くなった炭の上に肉をかざして焼いている。

どっちを食べたいですか。

― もちろん炭火のほうです。

 ですよね。炎とは対流です。高温の空気が肉を包むと表面だけが焦げて、中には火が通りにくい。一方で、炭火焼きは放射熱で肉を焼くから、表面温度はそれほど上がらなくても中にはじんわり火が通る。これが放射の原理です。


断熱で表面温度を適度に保つ
― 空気を暖めても、身体の芯から温まらない?

 エアコンで暖めた室内の空気はせいぜい20~22度で、身体の表面温度より10度近くも低い。それをかき混ぜて身体に当てたら、身体からは熱が奪われてしまいます。床や壁の表面温度がそれなりに上がっていれば、体表面温が下がらないで済みます。
 「空調」という言葉が誤解のもとですね。空気を暖めたり冷やしたりすることにより、床・壁・天井の表面温度をコントロールすることがまずは重要であることを見落としてしまうからです。さきほど「断熱性が高いと、床や壁・天井の表面温度が適度に保たれる」と言ったのは、そういうことです。

― 壁の表面温度は簡単に測れるのですか?

 非接触式の温度計を使えば測れます。

建築設計に携わる人にはぜひ携帯してもらったらよいと思います。いろいろな場所で測ると、体感との対応付けができてくるでしょう。値段は様々ですが、6000円ぐらいでも入手可能です。

― 床・壁・天井の表面温度はどのぐらいに保てればよいのですか?

 関東の冬ならば、暖房なしでも壁の表面温度を最低でも16度ぐらいには保ちたいですね。そうすれば、万一、電力やガスなどのインフラが断たれても、凍えるようなことはありません。

― 夏はどうですか。

 壁や窓の表面温度が31度ぐらいまでなら大丈夫。それでも、体表面の温度よりはやや低めです。そこにそよ風が吹けば、皮膚の表面温度より低い温度の空気が流れていくのですから、不快に感じずに済みます。

― でも、真夏に窓を開けても、生暖かい空気が入ってくるだけで、気持ちが良くないですが・・・

 それは空気の温度が高いのではなくて、アスファルトやコンクリートの表面からの放射熱が入ってくるためです。その場合は、庇を掛けて日差しを遮るとか、地面に水をまくとか、表面温度を下げる工夫が必要です。



宿谷昌則:東京都市大学教授
(日経アーキテクチュアNo.967 P78.より引用)   』


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# by ja_club | 2012-02-07 17:23 | 住宅 | Trackback 

エコハウスのウソ (最終回)


結局、エコハウスは必要? 

最終回となる今回は、これまで挑発的にエコハウスの問題点を論じてきた前真之氏が真意を語る。「曖昧に、当たり障りなく」から脱し、真剣に議論・検証して「本物」のエコハウスを育てなくてはならない、と。

 ここまで15回にわたり、エコハウスについての考察を行ってきた。最後にまとめをしておこう。
 連載の前半では、もっぱらエコハウスの定石とされる「吹き抜け+大窓」に対して、様々な疑問を論じてきた。それらは多くの問題点をもっており、住々にして不快でエネルギーを無駄にする空間を生み出しかねないことを指摘した。

 これらは推測でもなんでもなく、実際に筆者や研究室の学生が実地調査で何度も「目撃」してきた事実である。建築雑誌を賑わせるエコハウスを見るときには、書いてあることを鵜呑みにせずに「批判的」なチェックをお薦めする。

エコは「様式」にあらず
 これらの問題は冷静に考えれば、どれも初歩の物理原則で説明できる簡単な事象ばかり。ちょっと意義すれば、自身の実体験からも思い当たるフシがあろうというもの。なのになぜ、かくもウソがまがり通るのだろうか。
 筆者の理解では「エコ」という言葉が、建築の世界では「モダニズム」や「ポストモダン」と同じように「様式の一つ」として扱われていることが問題の根幹である。構法や材料の発展を考慮していたとしても、これらは基本的に建築家と評論家の狭いコミュニティーで決定された「人による区別」。結局、現在のエコハウスの多くは「エコ様式」でしかないのだ。
 しかし省エネや省CO2が切実になる中で、人の生活を守っていくためには、「様式」としてのエコは無力であり、時に有害である。人間はなぜか体毛を退化させたため、寒さへの対処のために衣類、そして建築を必要とした。建築は物理的存在として人間を保護するという、切実な「願い」をその発端としていることを忘れるべきではない。それは様式の流行などとは無関係な、建築の根源的で永続的な存在理由なのである。


まともな「暮らし」してますか
 連載の後半は、太陽光発電を中心とした創エネ、あるいはゼロエネや省CO2を「批判的に」取り上げた。あれこれ曖昧なキーワードやブレる政策に振り回されては日本が疲幣しきってしまう、そして理屈やテクノロジーうんぬんの前に、根本である「生活」そのものを見直すことが先決ではないかと思うからである。
 スイスに見学に行った学生が、スイス人は朝7時に学校や会社に到着して夕方4時には家に帰ると驚いていた。蓄電池に数百万円かけて夜型生活を続けるのと、明るいうちに帰り早目に寝る生活に切り替えるのと、どちらが豊かなのか、いま一度考えるべきだろう。
 そして、外が明るい時刻から家で過ごすとなれば、住環境をいかに快適にするかを真剣に考えるというもの。だからスイス人は質の高い住環境の獲得に余念がない。スイスのエコハウスにこれ見よがしな吹き抜けや大窓が見られないのは、それらが見た目は良くても住環境を悪化させることをみんなが理解しているからではないだろうか。
 普段の生活を大事にせずに、まともな住環境を論ずることなどできようはずがない。だから見せかけだけの「エコ様式」に気付くことができないのだ。日本人も、もっと生きること、暮らすことに「貪欲」にならねばならない。まともな住環境はただ与えられるものではなく、「獲得」するもの。何にカネを使うべきで、何に使うべきでないのか。その厳しい取捨選択の中でニセモノは淘汰され、本物だけが残っていくべきなのだ。


エコハウスは何のため?
 筆者が本連載を始めた動機は、「実は誰もエコハウスなど好きではないのではないか」「真面目に考えていないのではないか」という危機感である。このままでは数十年後に化石エネルギーを使えなくなった時、日本人は本当に惨めな生活をするハメになる。良質なエコハウスのストックは日本人にとっての「箱舟」になり得るのだ。そのためには曖昧に当たり障りなく済ませるのではなく、今から厳しく議論し検証して「本物」に育てていかなければならない。
 日本人は繊細な感覚で自然を感じてきた。もっとよく生きることの意義に気付けば、室内環境も繊細に論じられるはず。そして必ずや日本の風土・気候に合った、皆を幸せにする本物のエコハウスをつくれると信じている。
 全連載の最後に表題に初めて「イエス!」と答えられたことをもって、本連載の結びとしたい。


前 真之:東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 准教授
(日経アーキテクチュアNo.966 P90.より引用)   』


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# by ja_club | 2012-02-03 10:08 | 住宅 | Trackback 

エコハウスのウソ (第15回)


オール電化はオールエコ?
 今世紀に入り急速に普及したオール電化住宅。全てを解決する「魔法」のように考えている人もいるが、前真之氏は、使い方によっては「増エネ」を誘発してしまう場合もあるので要注意だと指摘する。

 昨今の電力供給の問題などから一時期ほどの勢いはないといわれるオール電化住宅であるが、ここ10年間におけるエネルギー変革の主役であったことは誰にも否定できない。「清潔安全」「快適便利」「省コスト」「省エネ」「省CO2」・・・。全てを解決する「魔法」のようなオール電化住宅、実際のところはどうだったのだろうか。
 オール電化を構成する主要な機器は、三種の神器と呼ばれる「IHヒーター」「エコキュート」「エアコン」である。このうち、後者2つはヒートポンプにより空気熱を集める事で圧倒的な高効率を達成しているとされる。このこと自体は間違いなく「真実」なのだが、実はあくまで「条件付き」。機器を適切に選択し、正しく使うことが不可欠なのである。



ヒートポンプも使い方次第
 例えばエコキュートは、「いつ」「どれくらい」の湯を沸き上げるかをコントロールする「制御モード」をリモコンで変更できる。ここで「深夜のみ」モードを選ぶと安価な深夜電力の時間帯にだけ沸き上がるので、電気代を安くできそうに思われる。しかし「深夜モード」のみに変更すると、エコキュートは昼間の湯切れを防ごうと深夜に湯をタンクへパンパンに貯めるので熱ロスが増加し、極端に効率が低下してしまう。

「省エネモード」を選んでおけば、深夜に「ほどほど」に沸き上げ、昼間に足りなければ追いかけで沸き上がるので効率が高くなる。
 ヒートポンプは、「魔法」ではなく「技術」。日本が世界に誇れる素晴らしい技術であることは間違いないが、そのポテンシャルを引き出すには正しい使い方が不可欠。エコキュートを使っている人は、省エネモードになっているかを今すぐチェックしてほしい。


安けりゃいいじゃん? 

 オール電化住宅の満足度は、一般的に高いとされている。燃焼機器が不要になるので安全・安心・清潔。そして、何より大きな魅力が圧倒的なランニング・コストの安さ。ガスの基本料金が不要になるだけではない。特にエコキュートは1ヵ月あたり1500円程度と、他の燃料で給湯するよりも圧倒的に安い。当初は高かったイニシャルコストも大幅に下がっていることを考えれば、まさに「夢のよう」「最高」である。
それでは一体どこに問題があるのか。一つ目は、オール電化住宅を名乗りながらヒートポンプを使っていない場合があること。ヒーター(電熱器)式の電気暖房機や電気温水器がその代表である。

 電気ヒーターでバンバン暖房すれば、電気代が大幅に増えるのですぐに気付く。電気はもともと他燃料より割高なのだ。ところが、蓄熱式暖房機や電気温水器が電力を膨大に浪費しても、深夜電力は割安なのでコストは大して増えない。だから気付かないうちに、大量のCO2を排出することになってしまう。コスト感覚が「麻痺」してしまった結果、前回取り上げた「省コスト→省エネ→省CO2」の連鎖が働かなくなるのだ。
 二つ目は、ヒートポンプを導入した場合でも「低効率」な使い方を誘導しかねないこと。前途したエコキュートのモード設定にしても、機器挙動をよく監視して説明書を熟読している「詳しい人」ほど、実は「深夜のみ」にしてしまっている。「昼間に沸き上げると高くつくのでは」→「説明書を読むと深夜のみモードがあるらしい」。結果、省コストの努力が見事に「裏目」に出て、増エネ・増CO2につながってしまうのだ。


結局、原子力をどうするのか
 三つ目の問題点は言うまでもなく、電力供給体制の今後が全くもって不透明ということ。前途の問題点は結局、ほとんど全て「深夜電力≒原子力発電」によってもたらされている。「深夜電力料金体系≒原子力政策」が今後どうなるのかに尽きるのだ。筆者には将来がどうなっているかなど、全く予想できない。10年後に大きく変わっているかもしれないし、全く変わっていないのかもしれない。しかし電力の供給体制がどうであれ、省エネ・省CO2は達成しなければならない。だから地道ではあるが堅実な、「省コスト→省エネ→省CO2」の王道を忘れてはならないと信じている。




前 真之:東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 准教授
(日経アーキテクチュアNo.965 P152.より引用)   』


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# by ja_club | 2012-01-27 10:41 | 住宅 | Trackback 

エコハウスのウソ(第14回)


目指せCO2削減?

消費エネルギーをCO2に換算することが当たり前になり、「日々、CO2削減に励むこと」が美徳とされる世の中になってきた。だが、前真之氏はそうした自己犠牲的アプローチは長続きしない、とみる。

 はじめに断っておくが、筆者は地球温暖化そのものに疑義を持っているわけではない。
 「地球温暖化はウソ」とする「地球温暖化懐疑論」なる書物がちまたにあふれているが、そうした懐疑論のほとんどはデータの一部のみを取り上げるなど、誤った分析と誤解に基づいた「誤診」であることが明らかになっている。(IR3S/TIGS叢書No.1「地球温暖化懐疑論批判」http://www.ir3s.u-tokyo.ac.jp/sosho)
 筆者は、CO2を減らすことは「絶対に必要」と考えており、懐疑論にくみするつもりは毛頭ない。しかし、「CO2削減そのもの」を目的にするべきではないと考えている。



CO2は計算できる?
 そもそもCO2排出量は、算出すること自体が容易ではない。石化燃料をそのまま燃やす場合には、燃料の種類ごとに出てくるCO2はほぼ一定である。図1に見るように、石炭は「炭素の固まり」なのでCO2排出量が大きく、最も避けるべき燃料であることは明らか。逆に天然ガスは水素分が多いのでCO2排出量はすくなく、環境にやさしいとされる。ココマデはごく簡単。
 ややこしいのは電力である。ご存じの通り電力事業者は、化石燃料はもちろん、水力・地熱や原子力など「CO2排出がない」とされるエネルギー源までも組み合せて発電を行っている。最終的に電気になりさえすれば、もとのエネルギー源は何でもよい。そして、このエネルギー源の「ベストミックス」のやり方は、地域の電力会社によって大きく異なっているのである。
 各電力業者が実際に出したCO2は図1の「実排出係数」になる。最小の関西電力と最大の沖縄電力とでは、同じ電力量当たりのCO2排出量には実に3倍近い開きがある。これは、関西電力は原発比率が約50%と非常に大きく、逆に沖縄電力はほとんど石炭に依存しているからである。同じだけ電気を使っていても、地域をまたぐとCO2排出量は大きく変化してしまうことになる。



カネの切れ目で排出権も
 さらにややこしいのが、「調整後排出係数」の問題である。これは何かというと、電力事業者が国内や世界から「CO2排出権」を購入してきて、実排出量から「差っ引いた」値のこと。CO2排出権とは、CO2を努力目標に以上に削減できた場合、その「余剰分」を売却できると京都議定書で認められたものだ。つまり、他人の削減実績を購入することで、「自分の分をチャラに」できることになる。
 「実排出量」と「調整後排出係数」の差が大きい電力事業者は、「電力は省エネCO2」という金看板を守るために、CO2排出権の購入にかなりの金額を海外に支払っていることになる。しかし今後、こうした排出権の購入は非常に難しくなるのは想像に難くない。まさに「カネの切れ目は」である。
 おまけに原子力の稼動比率が低下していくなか、古い(低効率な)火力発電所を再稼働して石炭をバンバン燃やせば、「実排出量」が激増するのは不可避。実は「実排出量」は年度ごとでも大きく変化している。このように、CO2排出量は地域や年度によって大きく変化してしまう、「当てにならない」数字なのである。


まずは「省コスト」から
 先の震災前までは京都議定書の評価期間(2008年~2012年)ということもあり、CO2削減が「金科玉条」であったが、今となっては「忘却の彼方」である。
 ズバリ言って、ほとんどの人には「省エネ」も「省CO2」も所詮はオマケ。エネルギーが「何MJ」だとかCO2が「何kg」などと言われて、ピンとくる人がどれだけいるだろうか。肝心なのはただ一つ、「省マネー」である。
 だから、おカネのチカラを直視し、生かすべきである。「何円」であれば、誰でも即座に理解できるのだから。
 省エネの調査をしていると、電気・ガスの検針票を1年分以上保存している人が少なくないことに驚かされる。「エネルギーの恩恵(快適性)」記号⇔「コスト(光熱費)」のバランスは厳しく精査されているのだ。この「人的エネルギー」を生かさない手はない。その「省コスト」の努力がいつの間にか「省エネ」につながっている・・・。これこそ、みんなの幸せにつながる「王道」ではないか。

 繰り返すが、「省エネ」も「省CO2」も絶対に必要。しかし、「自己犠牲的」なアプローチは結局、長続きしない。「当たり前に」できる「自然な」アプローチこそ、今の疲幣しきった日本には求められているのではないだろうか。



前 真之:東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 准教授
(日経アーキテクチュアNo.964 P82.より引用)   』


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# by ja_club | 2012-01-20 09:28 | 住宅 | Trackback 

エコハウスのウソ (第13回)


省エネよりゼロエネ?

再生エネルギーへの関心が高まってきた。「ゼロエネ」という言葉の広がりはそれを象徴する。しかし、ゼロエネだけを目的にすると、住宅のバランスがおかしくなってしまうと、前真之氏は危惧する。

 ゼロエナジー・ハウス(ZEH)というキーワードをよく耳にするようになった。今までは「省エネ」という言葉がもっぱらだったが、「ゼロエネ」の方が何やらすごそう。実際はどうなのだろうか。
 そもそも、慣れ親しんだ「省エネ」とは何を意味するのか。大辞泉(小学館)によると「石油・電力・ガスなどのエネルギーを効率的に使用し、その消費量を節約すること」とある。
 1979年に制定された「国内のエネルギーの使用の合理化に関する法律」、いわゆる「省エネ法」の目的は、「内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため・・・」と、「国家の安全保障」の色合いが非常に強い。1973年のオイルショックを契機に、石油依存から脱却することが最優先であったことがうかがえる。



 しかしながら、オイルショックを直接経験した世代はいざしらず、(自分も含めた)その後の世代にはむしろ、Wikipedia(インターネット上のフリー百科事典)の説明の方がしっくりくる。「日本の省エネは、オイルショックのときにエネルギーの安全保障の面から始められた。1990年代以降、地球環境問題、特に温室効果ガスの削減が社会問題化して以降、その手法の1つとして重要なものとなっている」


省エネは時代とともに変化
 つまり、省エネは時代ごとに意味を変化させてきた。そこに共通する理念とは、「同じ社会的・経済的効果をより少ないエネルギーで得られるようにすること」になる。
 これを住宅に当てはめると、「同じ生活レベルをより少ないエネルギーで」となる。高断熱・高気密化や設備機器の高効率化は、まさにこれに当てはまる。前回論じた太陽熱の給湯や暖房への利用も、必要なエネルギーを削減するため省エネに含まれることが多い。
 「省エネ」は、意味は変われど社会のニーズに応えながら長い時間を生き延びた。「タフで長生き」な言葉ということができる。


ゼロエネの行き着く先は?
 ただし、省エネ技術ではエネルギーの削減はできても、最低限必要なエネルギーはどうしても残ってしまう。地球環境問題への関心が高まる中で、さらに進んだ形として「ゼロエネ」が登場してきた。自然界から循環的に得られるCO2などを排出しない「再生可能エネルギー」を利用することで、省エネでは削れない部分のエネルギーを賄おうとするものである。



「再生可能エネルギー」はいくつか種類があるが、こと日本を念頭におくと、現実的なのはやはり太陽光発電ということになる。
 最近は、この「ゼロエネ」が注目され、省エネは「もう古い」といわんばかりである。現状の「ゼロエネ」住宅では、概ねしっかりした「省エネ」手法が尽くされた後に最低限を再生可能エネルギーで賄っているので、両者は「共存」している。だから、「省エネ住宅の進んだもの=ゼロエネ住宅」程度という認識が一般的ではないだろうか。
 しかし、これはあくまで現状の話。再生可能エネルギー(≒太陽光発電)が「高くつく」ので、むやみに載せられないからまずは省エネせざるをえない。しかし、本当に(政府目標のような)低価格化が実現すれば、既存の多くの省エネ技術よりも安価になる。その場合、省エネが再生可能エネルギーか、どちらかだけを選ぶことが予想される。ほとんどの家庭のマイホーム資金は無尽蔵ではないのだ。


家は公器、王道は省エネ
 結局、ゼロエネ自体を目的にしてしまうと、「家は人が住む場所」という事実を忘れがちになる。家は太陽光発電を載せる単純な「台」ではない。それに、太陽光発電で収支が差し引きゼロになったとしても、結局は系統電力(と発電所)なしには成立しないのだ。
 バイオマスがCO2を出さないからといって、断熱・気密を行なわずに薪ストーブに頼るのも考えもの。いくら薪を燃やしても高断熱・高気密住宅のようなムラのない温熱環境は得られないし、そもそも膨大な薪を割るのが大変である。
 今回の災害で、高断熱の家では暖房無しでも凍えずに済んだ、太陽熱温水器で停電でもお湯が使えて助かったという声を聞く。このように「省エネ」は住宅の質を上げて生活水準を支える、人にやさしい徳のある「王道」である。家は人の住む「公器」であることを、ゆめゆめ忘れる事なかれ。


前 真之:東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 准教授
(日経アーキテクチュアNo.963 P70.より引用)   』


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# by ja_club | 2012-01-13 12:28 | 住宅 | Trackback 

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